概略
感覚の相互作用現象の一つで、二つの効果の掻き消し効果、遮音効果ともいわれる。強い刺激があると弱い刺激の存在が感じられなくなる現象。嗅覚、味覚のみならず、視覚、聴覚領域でも重要な現象である。マスクする音(マスカー:masker)に対してマスクされる音(マスキー:maskee)の振動数が高いほうが、低い振動数の音よりもマスクされやすい。マスキング効果は、基底膜の振動様式や聴覚神経での抑制効果によるものである。
ex)
聴覚:静かな時に聞こえる音楽は、騒音の中だと聞こえなくなる
嗅覚:嫌な臭いは香水などで消す
味覚:嫌なにおい・色をした食べ物は食欲をなくす
聴覚マスキング
ある音に対する最少可聴値(音の強度に対する刺激閾)がほかの音の存在によって上昇する現象(JIS Z 8109)。すなわち、ある音がほかの音の存在によって、聞こえなくなる現象。A音がB音をマスクする場合、B音は聞こえにくくなり、B音はきこえにくくなり、閾値が上昇したのかを測ればマスキングの大きさはわかる。B音が単独で与えられたときの音圧レベルの値をI0とし、A音を同時に鳴らした時のB音の音圧レベルの値をImとすると、この上昇分がマスキングの大きさである。すなわち、マスキング量(MdB)は、M=Im-Ioで表される。
種類
部分マスキング
音は聞こえるがその大きさが小さくなる
音は聞こえるがその大きさが小さくなる
同時マスキング
マスクする音とマスクされる音が同時に提示される。最もマスキング量が大きい。
マスクする音とマスクされる音が同時に提示される。最もマスキング量が大きい。
継時マスキング
二つの音が継時的に与えられて生じるマスキング
二つの音が継時的に与えられて生じるマスキング
順向マスキング
マスクする音A→マスクされる音Bの順に提示するマスキング。マスクする音とマスクされる音の間に20~40㎳以内の時間間隔が生じる
マスクする音A→マスクされる音Bの順に提示するマスキング。マスクする音とマスクされる音の間に20~40㎳以内の時間間隔が生じる
逆向マスキング
マスクされる音B→マスクする音Aの順に提示するマスキング。マスクする音とマスクされる音の間に140~340㎳以内で時間間隔が生じる。時間間隔が同じであれば、順向マスキングより逆向マスキングのほうがマスキング量が多い。
マスクされる音B→マスクする音Aの順に提示するマスキング。マスクする音とマスクされる音の間に140~340㎳以内で時間間隔が生じる。時間間隔が同じであれば、順向マスキングより逆向マスキングのほうがマスキング量が多い。
認知マスキング
ほかの音などの提示によって音の認知が妨害されること。音が提示されると知覚的な表象が作られ、それに基づいてどのような音であるかについての認知が行われるが、後続音が提示されてしまうと先行音の知覚表象が妨げられて、認知がよくできなってしまうためではないかと考えられている。
ほかの音などの提示によって音の認知が妨害されること。音が提示されると知覚的な表象が作られ、それに基づいてどのような音であるかについての認知が行われるが、後続音が提示されてしまうと先行音の知覚表象が妨げられて、認知がよくできなってしまうためではないかと考えられている。
両耳間マスキング(contaralatetal masking)
二つの音が左右の耳に別々に与えられた場合マスキングは同時マスキングより50dB程度低い。純音を雑音でマスクしたとき、純音の振動数を中心にした、ある狭い帯域に雑音が集中している。この帯域を臨界帯域という。同耳マスキングと比べて、マスキング量は50dB程度少ない。マスクする音が骨伝導によって反対側の耳に伝わり、そこで同耳マスキングを生じさせているといえる。
二つの音が左右の耳に別々に与えられた場合マスキングは同時マスキングより50dB程度低い。純音を雑音でマスクしたとき、純音の振動数を中心にした、ある狭い帯域に雑音が集中している。この帯域を臨界帯域という。同耳マスキングと比べて、マスキング量は50dB程度少ない。マスクする音が骨伝導によって反対側の耳に伝わり、そこで同耳マスキングを生じさせているといえる。
傾向
マスカーとマスキーの両方の周波数と強さをいろいろに変えてマスキング量を測定すると、次にあげるような一定の傾向がある。
①低周波数音は高周波数音をマスクしやすいが、高周波数音は低周波数音をマスクしやすい
②周波数の近い音ほどマスキング量は大きいが、あまり近いとうなりが生じてB音の存在が検知されやすくなるために、マスキング量はかえって減少する。同様のことは、B音の周波数がA音の倍音付近の場合にも生じる。
③A音の強さが増大するほどマスクされる範囲は広がり、マスキング量も増大するが、その割合は周波数によって異なる。
視覚マスキング
ある視覚像が別の視覚像を壊し得ることを示す。二つの異なる刺激を素早く継時的に提示して、被験者が何を知覚するかを調べる方法である。
Averbach
and coriell及びSperlingは、マスキング手続きを用いてアイコン貯蔵を調べた。フラッシュ光をマスク刺激として用い、被験者に文字刺激を短時間見せ、その文字刺激が消えた後すぐにフラッシュ光を提示した。そして見えた文字数を調べるという実験を行った。結果はマスク光がすぐ提示されるほど、報告できる文字数は少なかった。マスクが文字の近くに影響を及ぼしたと考えられる。
しかし、因果律によれば、ある事象は、それがほかの事象に先んじるか、あるいは同時に生起するときにのみほかの自称に影響を及ぼしえる、そして科学は因果律の上に成り立っている。よってマスクは先行する事象に逆行して影響を及ぼしているよう見えるだけであって、実際にそうではない。マスクはそれが生起したときに進行している過程影響するのである。たとえそれが文字の近くのような単純なものであっても、認知過程には時間がかかる、先の実験であれば、近く過程は短時間提示された刺激が消えた後にも侵攻しており、マスクはこの近く過程にかんしょうしたのである。
マスクが鑑賞しえるアイコン超像の過程は、少なくとも二段階ある。マスクはアイコンの形成を妨害しえるし、アイコンから文字を読みだす際の文字の道程も妨害しえる。
アイコン記憶:視覚的印象の「持続性」というものは、その刺激が終結してしまった後でさえ、それらの印象をしばらくの間、処理のために利用しうるようにさせるものである。
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