2012年12月18日火曜日

カクテルパーティ効果 cocktail-party effect



概略


 パーティ会場などの騒がしい所でも、話し相手の話す内容を聞き取り、会話を続けられたり、人と話している時でも、別の所で自分の名前が呼ばれるとそれに気づいたりする。このような二つ以上の音源に対して、自分に関係のある一つの音源を選択的に聴取できる効果をいう。また、こうした知覚の選択制を注意の働き、選択的注意という。

日常的場面での実例。情報の選択は人間の情報処理過程のどの過程で生じるのか、早期選択説と後記選択説の二つがある。前者は注意を向けられていない情報に関しては、物理的・感覚的レベルまでしか処理がなされないと考える。両耳分離聴実験が裏付けとして用いられ、注意を向けていない方の音の物理的変化を、被験者はすぐに察知するが、その内容は理解していないことから、早期選択説を支持している。具体的システムとしてフィルター説と減衰説がある。一方、後記選択説は注意を向けていない対象に関しても、意味レベルまで処理は進んでおり、その上で選択されていると考える。これが冒頭の例の後者にあたり、それまで無視されてきた情報も意味的処理がされ、自分の名前と気づき、注意を向ける対象になり得た。現在では注意の選択は、複数の段階で起こりうるのではないかと考えられている

 

定義

二つ以上の音源に対して一つの音源のみを選択的に聴取できる効果

聴覚的情報の選択処理、聴覚受容器に到達する刺激強度に特に差はないのにもかかわらずその中の特定の会話を選択できる。こうした知覚の選択制を注意の働きとし、選択的注意selectiveattention)という。
 
具体例 

 パーティ会場などの騒がしいところでも、話し相手の話す内容を聞き取ることができ、会話を続けることができる。
 大勢が話している場でも自分の名前が話題に上ると、自分の名前を聞き取ることができる。


知覚のシステム


 選択的注意のシステムを調べるためにCherry,E.C. (1953)に両耳分離聴の実験を行い、選択的注意の原理を明らかにした。それをもとに、ブロードベントフィルター説トレイスマン減衰説などが提唱された。フィルター説や減衰説は、情報の取捨選択は情報の入力直後の段階に行われるとする早期選択(early selection)の立場をとる。これに対し、後期選択(late selection)の立場では、最も重要な入力情報が反応に影響を与えるという前提から意味的分析やパターン認知などの入力情報の内容分析が終了したあと、注意による情報の選択が行われると考える(Deutsch&Deutsch,1963)。脳の反応である事象関連電位を指標とした神経心理学的研究からは、注意を向けた刺激は注意を向けない刺激よりも、大きな反応を生じることを報告しており、この結果は初期選択説を支持している。ブロードベントの考えたフィルター説ではどれか1つの回路が選択されることにより、一度に1つのものしか通過できなかったが、トレイスマンの説では、同時に多くの情報が伝えられると、注意を向けていないものは減衰されられるがまったく通過できないわけではないから、もしそれが重要であれば時には発見され受け入れられるのである。したがって、注意の機構は初期の段階に存在すると考えられる。


フィルター説Broadbent,1958

処理機構の入り口付近に複数のフィルターが存在し、情報の内容によってではなく物理的特性によって、そのうちのあるフィルターだけが多選択されて聞かれ、そのフィルターを通過した情報のみが処理されると考えた。したがって、注意を向けていない対象に対しては何も知ることができないことになる。


減衰説(attenuator theory)(Treisman,1964)

注意を向けていない方の耳からの情報もある程度の処理がなされると考えた。たとえば、自分の名前などのように関心のる情報の場合には、たとえ減衰して伝えられてもある程度の分析が行われると説明した、ブロードベントの考えたフィルター説ではどれか1つの回路が選択されることにより、一度に1つのものしか通過できなかったが、トレイスマンの説では、同時に多くの情報が伝えられると、注意を向けていないものは減衰されられるがまったく通過できないわけではないから、もしそれが重要であれば時には発見され受け入れられるのである。したがって、注意の機構は初期の段階に存在すると考えられる。



選択的注意(selectiveattention)
多様な情報が渦巻くような環境条件下において、その個人にとって重要だと認識された情報を選択してそれに注意を向ける認知機能を指す概念。カクテルパーティ効果や両耳分離聴の実験によって明らかにされている。




両耳分離聴(dichoyic listening)
注意の研究でしばしば用いられる方法。カクテルパーティ効果を実験的に知り得るためにCherry,E.C. 1953 )により行われた実験。この方法では、左右の耳に別々の情報を等しい大きさで同時に提示する。チェリーは、左耳にA、右耳にBという言葉を提示し、被験者に追唱(shadowing)させた。被験者は比較的容易にこの課題を遂行できたが、このとき追従しなかった法の言葉はほとんど覚えてなかった。ただし、それが男声であったか女声であったかはということは覚えていた。しかし、英語からドイツ語に変わったことは気づかなかった。結果として、追唱を受けない、すなわち注意をむけられないチャンネルの情報は、英語か日本語かといった意味内容までは分析されず、男声か女声かというような物理的特徴の処理に留まる。この選択的注意の原理からトレイスマンは減衰説、ブロードベントは記憶のフィルターモデルを提唱した。これは記憶の流れに関するモデルで、感覚受容器(資格や聴覚など)が受け取った多様な情報が、感覚記憶から短期記憶の貯蔵庫あるいは長期記憶の貯蔵庫に移行する際に選択的注意が働き、需要度に応じてフィルターがかかり、そのフィルターを通過した情報だけが短期記憶や長期記憶として貯蔵されると説明される。


追唱(shadowing) 

一方の耳の情報を繰り返し言わせる、被験者の注意を一方に偏らせるために用いる選択的注意の実験の代表的手段。


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