2012年12月10日月曜日

アスペルガー障害 autistic psychopathy  ~自閉的精神病質~


 
概略

 

 小児期の発達障害の一つ。対人関係障害と情緒障害を主とするもので、知的発達は保たれる。独特な抑揚をもつ会話が特徴とされる。共感性に乏しく、他人との情緒的な交流を持つことが困難で、関心の幅は狭いが自分の関心のある事柄には熱中する。ラター(Rutter,M.)により提唱された類似の症状を示す小児自閉症との異同が問題とされるが、言葉の遅れがないことがアスペルガー障害の特徴である。しかし、知的障害がない自閉症として扱われることも多く、また、言語障害のない自閉症を指すという研究者もいる。

 

定義

 対人関係障害と情緒障害を主とする小児期の発達障害の一つ。


提唱者

アスペルガー(Asperger,H.)

 

特徴

 ●社会性について

  正直すぎる性格… 私たち人間は生きていく上で暗黙のルールや常識といったものを共有しているが、本症者はこうした社会的ルールが理解しづらい。そのため、つい本当のことを言ってしまい相手を傷つけてしまうことがある。しかし、反社会的な行動をとる人が多いというというのは統計的に立証されておらず、犯罪に直結することはない。



 ●コミュニケーションについて

  たとえ身内であっても、他人とのコミュニケーションが苦手である。様々な言葉を使い普通に話すことができるが、例えば、「いってきます・ただいま・おかえりなさい」などの立場に応じた使い分けが難しいということがある。これは、社会的に共通する言葉の意味や概念が理解しづらいためである。


 ●その他

 想像力・創造性といった感性が欠如しているため、「ごっこ遊び」には興味をさない。
その一方で、一つの物事に対して、異常な興味や関心、執着心を持つことがあり、自分の好むコレクションなどのもの集めを楽しむことがある(ミニチュアやカード、レシートなど)
また、視覚や聴覚、味覚などの感覚分野が敏感か鈍感のどちらかに偏っている傾向がある。(敏感な方は、ちょっとした日差しや雑音を嫌い、サングラスや耳栓をつけなければ外出できないような方もいる。また、鈍感な方の場合、明らかに気持ち悪くなるのではないかというぐらい回転し続けても、本人はなんともないようなことがある。)
また、その他の問題として決まった行動パターンを好むため、作業や予定の変更を嫌う、また、味覚が偏っているため、偏食になりやすいという特徴もある。
 
 
DSM-Ⅳ-TR による分類
A. 以下のうち少なくとも2つにより示される 対人的相互反応の質的な障害
 
 1. 目と目で見つめ合う、顔の表情、体の姿勢、身振りなど、対人的相互反応を調節する多彩な非言語的行動の使用の著明な障害。
 
 2. 発達水準に相応した仲間関係を作ることの失敗。
 
 3. 楽しみ、興味、達成感を他人と分かち合うことを自発的に求めることの欠如。(例:他の人達に興味ある物を見せる、持ってくる、指差すなどをしない)
 
4. 対人的または情緒的相互性の欠如。
 
B. 行動、興味および活動の、限定的、反復的、常同的な様式で、以下の少なくとも1つによって明らかになる
 
 1. その強度または対象において異常なほど、常同的で限定された型の1つまたはそれ以上の興味だけに熱中すること。
 
  2. 特定の、機能的でない習慣や儀式にかたくなにこだわるのが明らかである。
 
 3. 常同的で反復的な衒奇的運動。(例えば、手や指をぱたぱたさせたり、ねじ曲げる、または複雑な全身の動き)
 
4. 物体の一部に持続的に熱中する。
 
C. その障害は社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の臨床的に著しい障害を引き起こしている。

D. 臨床的に著しい言語の遅れがない(例:2歳までに単語を用い、3歳までにコミュニケーション的な句を用いる) 
 
E. 認知の発達、年齢に相応した自己管理能力、(対人関係以外の)適応行動、および小児期における環境への好奇心について臨床的に明らかな遅れがない。
 
F. 他の特定の広汎性発達障害または統合失調症の基準を満たさない。
 

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