2012年12月21日金曜日

ロールシャッハ・テスト Rorschach test



概略


 1921年にスイスの精神科医ヘルマン・ロールシャッハ(Hermann Rorschach)によって考案された投影法人格検査の代表的な方法。被験者にインクのしみを見せ、それから何を想像するかによって人格を分析しようとしたもの。初めはインクブロット・テスト(inkblot test)と呼ばれていたように、検査刺激は、左右対称のインクのシミを持つカードで、無彩色、赤と黒の2色、複数の色彩を用いたものがある。テストは、被験者にカードを1枚ずつ示し、まず、カードのしみが何に見えるのかを自由に回答させ(自由反応段階)、次に質疑を行って、どのように見えたか(刺激・特徴など)を聴取する(質疑段階)。そして、反応時間、反応内容、決定因(どのような特徴から見えたのか)、反応領域(どこが見えたか)、カードの向き、形態水準などを記録し、量的分析、および言語表現上の特徴を分析することにより、被験者のもともとの性格や、思考様式、感情状態、対人関係、自己認知といったパーソナリティを捉える事が出来る。解釈法はさまざまあり、膨大な研究が積み重ねられてきた。そのなかで、エクスナー(Exner,J.E.)による包括システムは比較的最近のもので、解釈仮説の背景にノーマル・データの蓄積による客観的データの裏づけをもっており、また感情、思考、認知、対人関係など各クラスターごとに分析を行うクラスター分析という手法を取り入れている。現在では世界中で行われており、最も信憑性の高い方法であるとされる。


方法
 テストには、紙の上にインクを落とし、それを2つ折りにして広げることにより作成されたほぼ左右対称の図版を持つカード(ロールシャッハ・カード)が用いられる。このような図版は原理的には簡単に作成できるものであるが、現在でもロールシャッハによって作成されたものが用いられている。カードは10枚1組で、無彩色のカードと有彩色のカードがそれぞれ5枚ずつ含まれる。各カードは約17cm x 24cmの大きさを持つ。



長所
 ・反応歪曲(回答を意識的に操作すること)が起きにくい
 

短所
 ・結果の分析に高度な技術を要する
  ⇒1920年代に開発されて以来、長年にわたって広く用いられており、テストへの反応と分析のデー
   タベース化が進んでいるため、統計的な評価もある程度可能になっている。
 ・MMPIやMINIなどに比べ、妥当性・信頼性が低く、1回のテストに分析を含めて長い時間を要する
  為、その有用性に疑問が持たれている。














定義




 被験者にインクのしみを見せ、それから何を想像するかによって人格を分析しようとしたもの。









提唱者




 ヘルマン・ロールシャッハ(スイスの精神科医)






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