2013年1月31日木曜日

愛着 attachment




概略

 特定の対象に対する特別の情緒的結びつき(affectional tie)のこと、もしくは他の特定の人間(動物)と情緒的に結びつきたいという要求をもつ状態を指す。
愛着を形成する生得的傾性を有して人間は誕生すると考えるボウルビィは、生理的満足の源として母親に依存するという考えに基づいて用いられた依存(dependence)という概念を避け、これに代わる愛着(attachment)という新たな概念を提出した。
彼によると母親への愛着は、
①人に関心を抱くが、人を区別した行動は見られない段階、
②母親へ対する分化した反応が見られるが、母親の不在に対して泣くというような行動はまだ見られない段階、
③明らかに愛着が形成され、愛着行動がきわめて活発な段階、
④愛着対象との身体的接近を必ずしも必要としなくなる段階
の4つの段階を経て発達し、その間にその他の対象へも愛着の輪を広げていくとしている。
愛着は、子どもの愛着欲求に対する母親の応答性によって生後6ヶ月以内に発達する正常な絆である。この重要な時期におけるマターナル・デプリベーションは心理発達に問題をもたらす。



定義
 ・特定の対象に対する特別の情緒的結びつき
 ・他の特定の人間(動物)と情緒的に結びつきたいという要求をもつ状態


提唱者
  ボウルビィ Bowlby,John.

ボウルビィによる愛着発達の4段階
 ①人に関心を抱くが、人を区別した行動は見られない段階
   (誕生から12週まで。人を目で追う、微笑、人の声や顔を見ると泣き止むなど)

 ②母親へ対する分化した反応が見られるが、母親の不在に対して泣くというような行動はまだ見られない段階
   (12週から6か月まで。母親的な人物に向けて、より明確な人間指向的な行動が出現)

 ③明らかに愛着が形成され、愛着行動がきわめて活発な段階
   (6、7か月ごろから2,3歳ごろまで。母親を後追いする、戻ってきた母親を喜んで迎える、探索活動の基地として母親を活用するなど、移動の手段により、弁別された人物に対して、近接を保持する。一方、未知の人間に対しては、恐れや警戒を示すなど、人見知りをするようになる。一人の主たる養育者との接触が乏しい場合は、この段階の始まりが遅れることもある)

 ④愛着対象との身体的接近を必ずしも必要としなくなる段階
  (3歳前後から。母親の感情や行動の目的についての見通しができるようになり、母子間に目標―修正的なパートナーシップが形成される)

また、この発達の間にその他の対象へも愛着の輪を広げていくとしている。


愛着行動 attachment behavior
 …愛着の存在を示す具体的な行動。
  愛着対象のみに示され、病気の時や不安が高まっているときなどに活性化する特徴を持つ。

  ・信号行動
    微笑・発声・泣きといった信号を通して、接近や相互作用を求める行動

  ・接近行動
    接近・接触・後追いなど、自らが移動することで身体的接近や接触を能動的に求める行動



エインズワース(Ainsworth, M.D.S)による愛着の5つの特色

 ①愛情を暗に含んでいる
 ②特異的・弁別的である
 ③外的行動として示され観察可能である
 ④主体的な過程であって受動的ではない
 ⑤相手の感動を喚起する二方向的な過程である


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