2013年1月19日土曜日

オペラント条件付け operant conditioning



概略

 道具的条件付けとも呼ばれる。
 有機体の自発したオペラント行動に強化刺激を随伴させ、その反応頻度や反応トポグラフィを変容させる条件付けの操作、およびその過程。
餌で強化することにより、ラットのレバー押し行動を増加させるのはその例。
弁別刺激=オペラント反応=強化刺激 という三項随伴性three-term contingency)によって制御される。
これを最初に実験的に検討したのがソーンダイク(Thorndike,E.L.)で、彼は中の仕掛けを操作すればドアが開き、外に出て餌を食べることができる問題箱を作成した。
空腹のネコを問題箱に入れるとネコは試行錯誤で脱出に成功し、さらに試行を繰り返すと脱出潜時は漸進的に減少した。
この結果から、ソーンダイクは試行錯誤学習は満足をもたらした反応(R)がその刺激状況(S)と結合するS-Rの連合学習であり、効果の法則に従うと主張した。
条件付け操作により反応の生起頻度が増加すれば強化、減少すればである。
スキナー箱における自由オペラント手続きが開発されると、オペラント条件付けの研究は格段に進歩した。
強化のスケジュール刺激制御に関する成果はその最たるものである。




定義
 有機体の自発したオペラント行動に強化刺激を随伴させ、その反応頻度や反応トポグラフィを変容させる条件付けの操作、およびその過程。


研究者
 ソーンダイク(Thorndike,Edward Lee)
  実験および教育心理学者。
 1896年前後から動物の知能をめぐって学習の研究がさまざまな脊椎動物を用いてなされた。
 ネコを用いた問題箱の試行錯誤学習の実験もこの時に行われた。
 そこから学習には動物の能動的な行動が必要であるという練習の法則(law of exercise)および効果の法則という主要な結果が導かれた。
 後者はのちにスキナーに引き継がれ、強化の概念として確立する。

 スキナー(Skinner, Burrhus Frederic)
  20世紀を代表する心理学者の一人で行動分析の創始者。
  1930年代後半までにスキナー箱を用いたオペラント行動研究の基礎を打ち立てた。


オペラント行動 operant behavior
 スキナーは行動を二分法的に分類し、それぞれレスポンデント行動、オペラント行動と命名した。
 オペラント行動とは、特定の誘発刺激がなく、自発した(emitted)反応である。
 


反応トポグラフィ response topography
 通常、オペラント行動は機能的に定義されここの運動の差異を考慮しないが、
 そうした物理的性質は反応トポグラフィとして記述される。
 たとえば、右手で押しても左手で押しても、オペラントとしてのレバー押し行動であることに変わりはないが、反応トポグラフィとしては異なる反応である。


効果の法則 law of effect
 問題箱などの実験を通してオペラント条件付けの先駆的研究を行ったソーンダイクの唱えた法則。
学習が生起するためには反応が環境に対して何らかの効果をもつことが必要であるとしたもの。
 今日強化と呼ばれる概念の必要性を唱え、また観念の連合に代わってS-Rの結合を考えたものであり、しばらく後の行動理論の発展に影響を与えた。


オペラント条件付け療法 orerant conditioning therapy
 行動療法の中心的治療技法の一つ。
 スキナーのオペラント条件付けに関する研究成果およびその条件付けの原理を応用する行動変容法。
 生体の自発的な反応または行動の生起率に影響を与えるような刺激を操作的に生体の反応の生起直後に随伴させる手続きで、行動の変容を図るもの。

 主な手法
  ・シェイピング法
  ・トークン・エコノミー法
  ・刺激統制法
  ・行動契約法
  ・バイオフィードバック法
                   など


強化 reinforcement
 オペラント条件付けにおいて、反応に随伴した後続の結果(consequence)によりその反応の生起確率がオペラント水準に比べて増加した場合、その事態や過程もしくは操作をさす記述概念。

強化子 reinforcer
 環境の変化と個体の行動の変容との機能的関係によって定義された刺激の類(クラス)の一つ。
 正の強化子:反応増加の原因が、後続結果として刺激が呈示されたことによる場合
 負の強化  :反応増加の原因が、後続結果として刺激が除去された事による場合

罰刺激/罰子 punisher
 オペラント条件付けにおいて、反応に後続して何らかの環境変化が起こり、その後に反応出現確率の減少が確認された場合、その環境変化を罰刺激もしくは罰子という。
 この事態ならびに過程、または罰子を反応に随伴させる手続きをという。

嫌悪刺激 aversive stimulus
 生体に嫌悪感情を引き起こすと考えられる刺激の総称。
 逃避学習、回避学習、罰訓練などで負の強化子として用いられる有害または不快刺激、罰子(punisher)。
 嫌悪刺激によりその行動の生起頻度は低下する。

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