2013年1月4日金曜日

仮現運動 apparent motion



概略
 

客観的には静止している対象が特定の位置または時間間隔で出現・消失を繰り返すとき,その対象が運動しているかのように知覚されることがある。広義には、物理的運動が存在しないにもかかわらず知覚される見かけの運動をいう。狭義では、対象A、Bを適切な時間感覚をおいて、異なる地点に交互に呈示するとき知覚される対象の運動を言う。視覚以外にも聴覚,触覚などでも認められている。


日常場面において見られる例として、映画や踏切の警報機彼があげられ、これはβ運動と呼ばれている。
ゲシュタルト心理学者のウェルトハイマー(Wertheimer,M.)は、この現象を構成主義心理学の要素論的見解に反論するものとしてとらえ、仮現運動の成立要因を初めて実験的に研究した。
このとき刺激の呈示間隔時間が約30ミリ秒以下のとき、2光点の同時点滅が知覚される(同時時相)。
また、呈示する時間間隔が約60ミリ秒のとき、実際運動の知覚と変わらない、滑らかで明らかな運動が知覚される(最適時相)。これを特にφ(ファイ)現象という。
約200ミリ秒以上では、2光点の継続的な点滅が知覚され、運動は知覚されない(刑事時相)。

仮現運動にはこの他に,例えばミュラー=リヤー図形の主線の両端の矢羽の外向きと内向きを交互に呈示すると,主線が伸縮して見えるα運動や,ひとつの静止した光点の輝度の強弱を急激に変化させると,強度を上げるときには光点が膨張し,強度を下げるときには収縮して見えるなどがある。





定義

広義
 物理的運動が存在しないにもかかわらず知覚される見かけの運動

狭義
 対象A、Bを適切な時間感覚をおいて、異なる地点に交互に呈示するとき知覚される対象の運動

 ・映画やテレビのように、網膜に投影された画像の位置変化が生み出す運動印象。
  
  ・実際には動いていないのに、運動を感じること。特に数cm離れた二つの視覚刺激を交互に一定の速度で出現させたり、示したりするときに生じる一連の錯視のこと。


研究者

  ドイツの心理学者 ウェルトハイマー(Wertheimer,M.)



日常例
  映画やアニメ (コマ送りの連続)
  踏切の警報機
  電光掲示板 (複数の光点が点滅することによって、表示された文字などが動いて見える)


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